「三倍増醸酒」と「合成清酒」

今回は、「三倍増醸酒」と「合成清酒」について調べることになっていたので、それぞれの原料、製法、味の特徴を一覧表にして、「犯人はコイツだ」ってやるつもりだったのですが、原料がよくわからないという状況になって、表を作成し始めたものの完成させられなくて、予定していた比較が出来なくなってしまいました。

そういうわけで、「三倍増醸酒」と「合成清酒」の発祥と現状ぐらいは書きだそうと思って、書き出しました。
(合成清酒の方が開発された時期が早いので、合成清酒、三倍増醸酒の順番で書きだしました)

1.合成清酒
1919(大正8)鈴木梅太郎が、原料に米を使わない合成酒“理研酒”の製造法の研究を指示、でんぷんにアミノ酸を加えて発酵させ、アルコールや調味料を混合する「発酵法」が開発された。[1]
現在は、アルコールにブドウ糖やアミノ酸類、酸などを混ぜ合わせて製造した純合成清酒に清酒を7%混和して製造。[2]

2.三倍増醸酒
戦後の食糧難の中で密造酒が横行していたため、1949(昭和24)年に、アルコールの他、糖類、酸類などを添加する増醸(三倍増醸)方が開始された。2006年の酒税法改正により、副原料の使用量は白米重量の50%以下に変更されたため、三増酒は清酒ではなくなった。[3][4]

立ち飲み屋で飲んだ不味い熱燗は、いつも飲んでいる吟醸酒や純米酒や本醸造酒とは全く違う味なので、合成清酒か三倍増醸酒のどちらかだと思って調べはじめたのですが、2008年には三倍醸造酒は清酒ではなくなっていたことがわかったので、あれは合成清酒だったのかな?とも思ったのですが、副原料の量が50%以下の増醸酒が存在するなら、それは清酒と呼べそうですので増醸酒の可能性もあります。
しかし、もう眠いのではっきりさせないでそのまま終わりにします。
眠気がないときに、蒸し返すかも知れません。

どちらの酒も食糧難のなかで開発されて、その後も色んな事情があって存続したようですので「不味い熱燗」といういい方は少し失礼だったと反省しています。
清酒に似せて作ったのだから「不味い」とかじゃなくて「ちょっと似てないね」とか、そういったい表現の方がよかったかも知れません。

それから、合成清酒を開発した鈴木梅太郎さんという方は、牧之原市出身でビタミンB1を発見した方だということがわかりました。『黎明期における郷土の科学者』という戦時中に出版されたと思われる本に梅太郎さんの人となりが書かれていました。富士宮中央図書館にあるので、興味のある人は読んでみてもいいかも知れません。
(古い本だったので破損すると嫌だなと思って、私は少し見てみて止めちゃいまいましたけど)

三倍醸造酒と合成清酒について調べるだけで、結構時間がかかっちゃったので、今日はこれまでです。

参考資料

1.「理研酒 ─ 合成酒の発明と事業化の成功」(国立研究開発法人理化学研究所)
https://www.riken.jp/pr/historia/riken_shu/index.html

2「お酒のはなし」(種類総合研究所情報誌)平成17年3月30日 (P.6)
https://www.nrib.go.jp/sake/story/pdf/SakeNo07.pdf

3.『醸造の辞典』(朝倉書店)2021年6月1日(P10)

4.「日本酒何でもFAQ」(菊正宗酒造株式会社)
https://www.kikumasamune.co.jp/mondou/faq5.html

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