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「三倍増醸酒」と「合成清酒」の続き

前回の投稿は、書いている途中で眠くなっちゃって、中途半端な終わり方をしましたが、こんな説明をすればいいんじゃないかと思い付きました。

1.合成清酒
①米以外の原料(でんぷんにアミノ酸を加えたもの)を発酵させ清酒に似た特徴を持った醸造酒をつくって、それにアルコールや調味料を混合する「発酵法」と②清酒を化学的に分析した結果得られたアミノ酸、糖類、コハク酸などの成分を糖蜜やイモなどからつくった醸造アルコールに加えた「純合成法」を組み合わせた③「理研式発酵法」でつくられた「理研酒」に④酒質を上げるために税法上「香味液」と呼ばれる、5重量%の酒造米を使用してつくられた味付け用米酒(醸造酒)を加えた混成酒。[1][2][3]

2.三倍増醸酒
清酒を醸造アルコールで増量して糖類、酸類など加えた醸造酒だったもの。[3]

以上の理解でよろしいでしょうか?

1959年と古い論文からの引用になりますが、清酒と合成清酒の違いを端的に表現すると以下の通りです。

「現在では清酒と合成清酒の差は、米の使用量の多寡によるといつても過言ではないと思う。もつと言葉をかえていうと清酒は米と芋(アルコール)、合成酒は芋と米からできていつてもよい」[2]

当時は、清酒のほとんどがアルコール添加や三倍増醸酒だったので、このような表現になったと思いますが、調味料を入れていないアルコール添加の清酒が同列に扱われるとは、昔の本醸造酒は合成清酒みたいな感じだったのかな?

まあ、素人なのでこの程度の理解で勘弁してくださいということで終わりにしようと思います。
「その説明は違うよ」とか「この方が分かりやすいよ」とかございましたら、ご教示いただければと思います。

またここに飲みに行くことがあったら、焼酎の梅干割を飲みながら、「合成清酒っていうのはね」とかいいながら、ウンチクをたれたいので、よろしくお願いします。

参考資料

1.「理研酒 ─ 合成酒の発明と事業化の成功」(国立研究開発法人理化学研究所)
https://www.riken.jp/pr/historia/riken_shu/index.html

2. 飯田茂次「合成清酒の現状」日本農芸化学会誌30巻12号, 1956

3. お酒全般に関するもの(国税庁)
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/sake/abc/abc-general.htm

「三倍増醸酒」と「合成清酒」

今回は、「三倍増醸酒」と「合成清酒」について調べることになっていたので、それぞれの原料、製法、味の特徴を一覧表にして、「犯人はコイツだ」ってやるつもりだったのですが、原料がよくわからないという状況になって、表を作成し始めたものの完成させられなくて、予定していた比較が出来なくなってしまいました。

そういうわけで、「三倍増醸酒」と「合成清酒」の発祥と現状ぐらいは書きだそうと思って、書き出しました。
(合成清酒の方が開発された時期が早いので、合成清酒、三倍増醸酒の順番で書きだしました)

1.合成清酒
1919(大正8)鈴木梅太郎が、原料に米を使わない合成酒“理研酒”の製造法の研究を指示、でんぷんにアミノ酸を加えて発酵させ、アルコールや調味料を混合する「発酵法」が開発された。[1]
現在は、アルコールにブドウ糖やアミノ酸類、酸などを混ぜ合わせて製造した純合成清酒に清酒を7%混和して製造。[2]

2.三倍増醸酒
戦後の食糧難の中で密造酒が横行していたため、1949(昭和24)年に、アルコールの他、糖類、酸類などを添加する増醸(三倍増醸)方が開始された。2006年の酒税法改正により、副原料の使用量は白米重量の50%以下に変更されたため、三増酒は清酒ではなくなった。[3][4]

立ち飲み屋で飲んだ不味い熱燗は、いつも飲んでいる吟醸酒や純米酒や本醸造酒とは全く違う味なので、合成清酒か三倍増醸酒のどちらかだと思って調べはじめたのですが、2008年には三倍醸造酒は清酒ではなくなっていたことがわかったので、あれは合成清酒だったのかな?とも思ったのですが、副原料の量が50%以下の増醸酒が存在するなら、それは清酒と呼べそうですので増醸酒の可能性もあります。
しかし、もう眠いのではっきりさせないでそのまま終わりにします。
眠気がないときに、蒸し返すかも知れません。

どちらの酒も食糧難のなかで開発されて、その後も色んな事情があって存続したようですので「不味い熱燗」といういい方は少し失礼だったと反省しています。
清酒に似せて作ったのだから「不味い」とかじゃなくて「ちょっと似てないね」とか、そういったい表現の方がよかったかも知れません。

それから、合成清酒を開発した鈴木梅太郎さんという方は、牧之原市出身でビタミンB1を発見した方だということがわかりました。『黎明期における郷土の科学者』という戦時中に出版されたと思われる本に梅太郎さんの人となりが書かれていました。富士宮中央図書館にあるので、興味のある人は読んでみてもいいかも知れません。
(古い本だったので破損すると嫌だなと思って、私は少し見てみて止めちゃいまいましたけど)

三倍醸造酒と合成清酒について調べるだけで、結構時間がかかっちゃったので、今日はこれまでです。

参考資料

1.「理研酒 ─ 合成酒の発明と事業化の成功」(国立研究開発法人理化学研究所)
https://www.riken.jp/pr/historia/riken_shu/index.html

2「お酒のはなし」(種類総合研究所情報誌)平成17年3月30日 (P.6)
https://www.nrib.go.jp/sake/story/pdf/SakeNo07.pdf

3.『醸造の辞典』(朝倉書店)2021年6月1日(P10)

4.「日本酒何でもFAQ」(菊正宗酒造株式会社)
https://www.kikumasamune.co.jp/mondou/faq5.html

本醸造の話のつづき

昨日、本醸造のところで眠くなってブログを中断したのですが、今日も一杯飲んでいるのでもう眠いです。
そういった訳で、本醸造のことを本から引用して何か書くのはちょっと辛くなってきたので、ネット検索してみたら、よいページが見つかりました。

「清酒の製法品質表示基準」の概要(国税庁)よりhttps://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/seishu/gaiyo/02.htm

本醸造の原料は、米、米こうじ、醸造アルコールです。
上記の表を見ると、不自然な味になる要素がありません。

実は2008年1月に東京の立ち飲み屋で飲んだ熱燗が、このようなことを申してよいのか、本当に迷いますが「とてもまずかった」ので、今まで「醸造アルコールというのが入っていたのかな?」思っていたのですが、どうも違うのではないかと思い当たるようなことが、『「知識ゼロからの」日本酒入門』に書かれていたのです。

つづく

【次回予告】
次回は、「東京の立ち飲み屋で樺太出身のおじさんとアラスカの青年と一緒に飲んだら結構楽しかった」です。

東京の立ち飲み屋で、見ず知らずの樺太出身のおじさん、やっぱり見ず知らずのアラスカからの旅行者バリー、私が3人で酔っぱらう話です。
※ブログ(消滅してしまった)に写真を載せてもよいと仰っていましたが、14年も前のことなのでモザイクを入れました。

カルピスの原液と甲類焼酎の原液

先日、甲類焼酎と乙類焼酎の違いをまとめましたが、その中で、今は甲類焼酎は連続蒸留式焼酎と呼ばれていることが分かり、甲類焼酎には他のアルコールが混ぜられているという誤解が解けました。
日本酒には「醸造アルコールを混ぜる」ということが行われているようですので、近所のおじさんは日本酒と焼酎の話を混同してしまっていたのではないかと思います。

では、醸造アルコールは何か調べてみたところ、「沢の鶴株式会社」ホームページに以下の記述がありました。

「醸造アルコールは、主にサトウキビを原料として発酵させた純度の高いアルコールのことを指します。サトウキビ由来の香りや味はほとんどなく、クリアな味わいをしています。
甲類焼酎は、アルコール度数が36度未満に調整された醸造アルコールで、缶チューハイなどのアルコールも同じです」[1]

お気づきになられたかと思いますが、醸造アルコールは甲類焼酎の原液だったのです。
だから、醸造用アルコールはカルピスの原液みたいなもので、甲類焼酎はカルピスウォーターみたいなものだといえるのではないでしょうか。

「我ながら、うまい事を思いつくなぁ」

と思って書き始めたので「カルピスの原液と甲類焼酎の原液」というタイトルにしたのですが、今になって焼酎は何かで割って飲むからカルピスウォーターとは違うということに気付きました。

だからといって、タイトルを変えるのも悔しいので、お題をかえます。
新しいお題は「沢の鶴」です。

今回、醸造アルコールについて、沢の鶴株式会社さんが出てきたので引用したのですが、沢の鶴は私の中では 「沢の鶴」=「東京」 です。
(神戸の会社だけど)

サラリーマン時代、新幹線で出張に行く時は富士山側の席に座って品川で降りることが多かったので、品川への到着を知らせるアナウンスが流れてきて、PCを片付けて外を眺めてると「沢の鶴」の看板が見えてくるわけです。
そういったわけで、私の中では「沢の鶴」=「東京」なのです。

YouTube (https://youtu.be/KsNGk2PXTkc)

※ YouTubeで「沢の鶴」の看板が写っている動画を見つけました。2:15:51あたりから画面中央右側に「沢の鶴」の看板が見えてきます。

「沢の鶴」の看板
YouTube (https://youtu.be/KsNGk2PXTkc) より

東京に出たついでに、立ち飲み屋か居酒屋で、昼間から「沢の鶴」を飲んでみたいなぁと思ったものですが、まだ、「沢の鶴」は飲んだことがありません。

家飲みだと富士錦が多いし、友達の家で飲んでも、やっぱり富士錦か高砂富士正が多いし、外で飲むときは花の舞とか国香とかも飲むけど、沢の鶴を飲む機会はないんですよね。

そういうわけで、今年の目標は「沢の鶴を飲む」です。
そんな感じで、今日はこれぐらいで。

参考資料

1.「醸造アルコールとは?醸造アルコールを含む日本酒の種類と特徴」(沢の鶴株式会社)
https://www.sawanotsuru.co.jp/site/nihonshu-columm/knowledge/brewed-alcohol/

焼酎、甲類と乙類

昨日、同級生のホリさんからのメッセージを紹介させていただきましたが、堀さんがお茶割りに使ったのは宝焼酎とのでした。
普段は乙類を飲んでいると思うのですが、望月ファームの粉末煎茶を飲むために甲類を買ってくれたのだと思います。

乙類の方が独特の香りがあって、何も混ぜなくてもストレートやロック、水割りで楽しむことが出来ますし、乙類のほうが工業的ではないというイメージもあって好む方がいるようにも見受けられます。
一方で、甲類は工業的に合成されたアルコールが混入しているというイメージを持つ方がいらっしゃるようです。

しかし、そうではなく飲用のアルコールは、サトウキビ等やトウモロコシ等を発行させて作った発酵アルコール[1] ですから、甲類も全て原料は植物です。

合成されたアルコール(エチルアルコール)であったとしても、人体に有害な不純物を完全に取り除ければ、別に問題ないはずですけどね。

甲類と乙類の違いは蒸留方法の違いです[2]。

甲類: 連続式蒸留焼酎
乙類 単式蒸留焼酎

(注)平成18年5月1日から、焼酎甲類は連続式蒸留焼酎に名称が変更されています。
(注)平成18年5月1日から、焼酎乙類は単式蒸留焼酎に名称が変更されています。

話は変わりますが、もしかすると、甲類の焼酎は、味の素みたいに誤解されているかも知れませんね。


味の素は化学調味料と呼ばれているので、私の母親は味の素が工業的に合成されたものだと思って、一切使っていませんでしたが、テレビでサトウキビを発酵させて作られていることを知って、やっと最近になって使うようになりました。

甲類とか味の素とかは、呼び方の印象で損をしてしまっているかも知れません。
あと、精製塩もそうですよね。
あれは、メキシコ沖などの海水を原料にしているのに、工場で合成されていると勘違いしている人が少なからずいるんですよね。

ところで、甲類とか乙類という呼び方は平成18年に廃止になったのですね。
このブログを書いているなかで知りました。
それから、本格焼酎という呼び方も出来たのですね。
本格焼酎は、単式蒸留焼酎(乙種)の一種です[2]

誤解されてかわいそうな連続式蒸留焼酎(甲類)ですが、単式蒸留焼酎(乙類)と比較するとクセがないので、何にでもあうという特徴があります。
連続式蒸留では純度の高いアルコールが生成されて、それを水で薄めるので原料の持つ特徴がほとんど感じられない[3]からなのですが、だからクセがないわけです。
そういった理由で粉末煎茶を飲む時は連続蒸留焼酎(甲類)をおすすめしています。
ぜひ、一度お試しください。

富士錦さんの富士のしずくのように、クセがないから粉末煎茶にあう単式蒸留焼酎(乙類)もあります。
酒屋さんに相談すればクセのない単式蒸留焼酎(乙類)を探してもらえるかも知れません。

あと、これは個人的な感想ですが、粉末煎茶の焼酎のお茶割りは、飲んだ翌日に胃がヒリヒリしにくいので、胃に優しいような気がしています。
まあ、科学的な検証はしていないので、印象に過ぎませんので、誤解なきようお願いいたします。

それから、単式蒸留焼酎(乙類)も好きですよ。

参考資料

1.経済産業省製造産業局アルコール室『アルコール事業法の理解を深める』平成26年3月,(p.2)
 https://www.meti.go.jp/policy/alcohol/alc_pamphlet_rev.pdf

2.「焼酎に関するもの」(国税庁)
 https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/sake/abc/abc-shochu.htm

3.「お酒の話 焼酎1(概要)」 (独立行政法人 酒類総合研究所) 
 https://www.nrib.go.jp/sake/story/pdf/ShochuNo01.pdf